2013年6月22日土曜日

『初音ミク -Project DIVA- F』 リズムゲームのUI

初めに

今回は「初音ミク -Project DIVA-」シリーズのゲームインターフェースについてお話しようと思います。
Project DIVAシリーズといえばキャラゲーであるとか、ファンディスク扱いで軽んじられることの多いゲームかもしれません。
しかしリズムゲームのゲーム性について考察していくことでそれとは別の面が見えてきます。
DIVAには革新的な面が多いのですが、それを知るにはまずリズムゲームがどういうものかを理解しなければなりません。


リズムゲームにおけるリスクとリターン



[1]

これはKONAMIの「ビートマニア」のゲームインターフェースです。
見ただけで分かる方が大半でしょうが、
①上方から降ってくるバーが②赤いラインにぴったり重なった時にボタンを押すと成功となります。
(以下分かりやすくするために①の種のものをサウンドアイコン、②を判定部と呼びます)

これをリスクとリターンに言い換える。
判定部にサウンドアイコンが近づき続けることでリスクが増え続けます。2つがぴったり重なったときリスクは最大(そこを過ぎると得点は最低になる)になり、同時にリターンも最大(最大得点)になる、とこういう構造になっています。

ただ位置が重なるところでボタンを押させるだけではゲームにはなりません。そこには駆け引きがないからです。
つまりリズムゲームをゲームたらしめているのは、その得点の付け方にあるのです。



フレーズとテンポ



[2]
それではDIVAの解説に移ります。
①画面上に散りばめられた判定部へと向かって②飛来するサウンドアイコンがぴったり重なった時に対応したボタンを押すと成功となります。
何が先の画面と違うのでしょうか。

もっとも大きく異なるのは判定部の扱われ方です。
判定部がサウンドアイコンと同数だけあるというのがここでのポイントになります。
(ボタンの種類(4種類)は赤いバーの列数と対応していて変化ではない)
それが意味することはなんでしょうか?

そのことを考える前に分かりやすくするための2つの概念を便宜的に準備します。
フレーズと、テンポです。
リズムは、フレーズ(ある特定のひとかたまり)にテンポ(ある特定の速さ)が合わさることで生み出されるものとし、
リズムゲームはそのリズムに合わせてボタンを押すというゲームであるとする。

その前提を受け入れたうえで「判定部がサウンドアイコンと同数ある」とは。
①サウンドアイコンが担っていた、フレーズを伝えるという機能を判定部が持ったということ。
②このことで、サウンドアイコンはその速さ、つまりテンポを表現する機能だけを担うことになる。

もう一度[1]に戻ってみましょう。
[1]では、フレーズとテンポはすべてサウンドアイコンが担っています
これら機能を別々の表示部に分けた、これが「初音ミク -Project DIVA-」シリーズの革新性です。



ぐだぐだと説明してきましたが、要はこういうことです。




メリット

今までは同時に認識しなければならなかったものを別々に処理可能なものにした。
今まではリズムの「構造」が認識しづらかった。たとえばテンポが速すぎればそれだけでフレーズを確認することが難しくなります。
しかし、このインターフェースならば少なくともフレーズは確認できる。
こういうこともあるので、DIVAは音ゲーとしては簡単だ、ぬるい、と言われるのかもしれません。
しかしこの考察を経て単純にそう言うだけでなく、別の考え方をすることもできます。
散りばめられた判定部を見てフレーズを把握し、サウンドアイコンの流れる速度でテンポを認識する。そうした2つの認識形態を、マークが重なる瞬間にボタンを押していくことで合一させていく快感。
これは、他のリズムゲームでは得られないものなのです。


補足:象徴性

画面上に判定部を散りばめたことにはもう一つ意義があります。

判定部(フレーズ)の並べ方に象徴性を与えることで意味が表現されることです。
例えば、くるくる回る→円形に回転する向きに判定部を並べる、など。
http://www.youtube.com/watch?v=6reiKZ8UDgM
[初音ミク Project DIVA f ] ワールズエンド・ダンスホール[EXTREMEプレイ動画]

このように歌詞と判定部の並べ方を一致させるといったことから、ノリのいいパートならばそれを補強するような流れをつくるというより大きな曲と譜面との一致の表現に使われています。
そしてそれらは画面の演出と同時に行われ、相乗効果を生む。
ただリズムと動物的反応による合一をしていくのではなく、よりリズムと人の感情を一致させていく。
これはエンターテイメントの形式として非常に優秀で、その意味で「初音ミク -Project DIVA-」シリーズは傑作なのです。


他参考動画:
http://www.youtube.com/watch?v=sMHcFpl1fQM 歌詞との一致
http://www.youtube.com/watch?v=VLaTDcrAggQ ミスの判定機能と歌詞”歌わせる”
http://www.youtube.com/watch?v=V8g2pdnzcos 単純に好き












1 件のコメント:

  1. 要するにiNiSがギタルマン、応援団で構築したシステムの模倣ってことですよね

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